<つかざき皮ふ科

爪の変形について

爪の変形にはここで紹介する巻き爪と陥入爪以外にもスプーン爪や厚硬爪などいろいろな種類があります。原因も様々ですが、白癬症をはじめとする感染症、外傷、圧迫の他に、乾癬,扁平苔癬など他の皮膚疾患や内蔵の病気に合併して起こることもあります。従って治療を行う為には、まず正しい診断と原因の検討を行う必要があります。
以前は変形の治療法が少なく、ひどくなると爪を剥がすという治療も一般的に行われていました。そのため巻き爪であることを自覚していても、爪を剥がされるのことを恐れて病院に行かず、どんどん変形や症状を悪化させてしまう人も少なくありませんでした。今は治療法も進化しており、爪を剥がすことはほとんどありません。原因となる疾患によっては内服薬、外用剤も併用しながら変形を矯正していきます。

巻き爪とは?

巻き爪とは写真に示すような爪の状態で、深爪や先が細い履物、外傷や年齢など様々な要因で起こります。親指の爪におこる場合がほとんどですが、他指にも起こりえます。変形が軽い場合は見た目の問題だけですが、進行すると、爪が皮膚に食い込み、運動時や歩行時に痛みが生じます。場合によっては化膿し、歩くことも困難な状態になることがあります。爪水虫を合併している場合も多く、爪が白く濁る、厚くなるなどの変化がある場合は、検査が必要となります。

陥入爪

陥入爪とは?

陥入爪は巻き爪と並ぶ治療が難しい爪のトラブルのひとつです。ほとんどの場合深爪や足に合わない靴が原因となります。スポーツをする中高校生に好発しますが、これは成長過程の為靴が小さくなっていることや、ローファーなど学校で指定された靴を履かざるを得ない上に、激しく運動し、清潔が保てないことが原因と思われます。一方、歩く機会が減って爪の周囲の組織が弱った高齢者にも起こりえます。
爪の先端から中央部に炎症を起こし、悪化すると強く腫れて浸出液や赤い肉芽を生じてしまい、さらに治りにくくなります。くい込んだ爪の角を切ると一時痛みが和らぎますが再び伸びた爪がトゲのようにとがり、それが足の指の腫れた皮膚に刺さり、激痛を生じます。巻き爪を合併している場合や腫れが強い時は爪の側縁全体がくい込み、腫れが増悪、さらにくい込むという悪循環に陥ってしまい益々治りにくくなります。
治療はまず抗生物質の内服外用、テーピング等の治療が試されますが、効果が乏しいことも多く、やむを得ず手術が行われる場合もあります。しかし、術後何年も経って爪の変形や痛みが生じる事も指摘されていますので、最近では手術をできるだけ避けることが望ましいと言われています。

最近の巻き爪(陥入爪)の治療法について

当院では開院当初は中等症以上の巻き爪に対してマチワイヤ-やクリップなどの爪矯正器具による治療を行っていました。また2年前からペディグラス、ボドフィックス、VHO方式のコレクティオなどを採用しました。しかし、この2年間の実績として、ポドフィックスやコレクティオ法は、それぞれ矯正力が小さい、ワイヤの破損、脱落が多いなどの問題から、期待通りの矯正が出来ない事が判明しました。一方、ペディグラス法は確実な矯正力が得られており、現在まで200例以上の爪に対して実績を上げています。
しかしペディグラスの一番の問題点は、炎症の強い陥入爪に対しては装着できないことです。ペディグラス法では5mm幅のプラスティック板を爪の角に挿入しますが、大きな肉芽があると挿入時に鋭い痛みを生じてしまい、装着そのものを断念せざるを得ないケースも多くあります。またジクジクと浸出液が出ている場合は爪も水分を沢山ふくんでいるため、接着剤の固定性が悪く、2、3日で外れてしまいます。チューブ挿入なども試みましたが、残念ながら充分納得のいく結果は得られていませんでした。
そこで従来の方法で対応出来なかった上記の陥入爪を克服すべく、平成26年9月から香川県で開業されている十川先生の開発された「そがわ式爪矯正法」を導入しました。長年に渡り爪変形疾患に取り組まれてこられ、独自のワイヤ、器具を考案されてきた先生です。幾度も改良を重ねられており、現在ほぼすべての陥入爪に対応可能になっています。
この矯正法の特徴としては、部位を問わないワイヤの爪への引っかけ、ワイヤの爪への固定における独自な接着手技等が挙げられます。また巻き爪にも応用可能で、比較的安価に行えます。当院では十川先生に御指導を頂き、平成26年秋より治療に導入し実績をあげています。
これまで治療がうまくいかなかった進行した陥入爪に威力を発揮しています。出来るだけ手術をしなくて済むように、患者さん本人の年齢、生活様式、症状を考慮し、最適な方法を考えます。

そがわ式

S式

爪の変形や炎症部位や程度を把握してから、ワイヤの挿入部位を決めます。特殊ワイヤを3次元的に加工し、鉤状に変形させた一端を引っかけます。陥入爪で肉芽がある場合は、肉芽をさけて前方にかけることもあります。痛みが強い場合は表面麻酔を行います。 一方のワイヤ断端は、あらかじめ下処理した爪表面に、ワイヤの弾性力を最大限に引き出すように固定します。その後ワイヤ全体をレジン(固着剤)+テープで保護します。この方法の利点、特徴はワイヤ装着部位の自由度が高く、必要に応じて複数のワイヤをクロスさせて固定することが可能なこと。そしてワイヤ先端が突出しないため、引っかかる事が比較的少ないことです。
当院では肉芽形成を伴う陥入爪治療の第1選択として位置づけており、早期からの肉芽組織の消退と炎症の沈静化を目指します。装着にあたって複数のワイヤを使うことがあり、週に1回以上の頻度で付け替える場合もあります
。また状況に応じてはコットン充填法を併用します。
料金は初回で下地処置を必要としない場合は2.160円ですが、下地処置をしたり、ワイヤを2本必要とする場合は、追加料金として1.080円ずつ追加となります。2回目以降はワイヤ1本につき1.080円になります。詳しくは開始時に説明します。

ペディグラス

ペディグラス

強い巻き爪治療に用います。上記のワイヤによる矯正と異なり、合成樹脂の弾性力を利用する方法です。4種類の器具があり、変形度に応じて使い分けます。方法としては、器具を爪の先端部に挿入し、面で持ち上げ矯正し、固定は接着剤で行います。その後グライダーで段差なく仕上げますので、右写真のように殆ど目立たず、装着していることを忘れます。装着は一側で行いますが、程度の強い巻き爪には両方から行こなう必要があります。
料金は変形の程度に応じて異なりますが、両側から行う場合の費用は倍になります。固定性は良好で、引き続き矯正が必要な場合は概ね1ヶ月程度の間隔を開けます。

   

矯正装置の違いについて

以下に、それぞれ利点、欠点をまとめてみました。

ペディグラス そがわ式
特徴 アクリル板を爪の先端に挿入し、その強い弾性力で持ち上げる。 特殊ワイヤを爪の形状、性状に合わせて変形加工できる。
適応 中〜高度の巻き爪 肉芽のある陥入爪
装着時間 30分〜1時間 30分
固定性 強固 やや弱い
欠点 費用が高価 やや外れやすい。
料金 変形度に応じて 3.180円〜10.800円(片側) 初回は2.160円。
ワイヤを取り付ける際に下地処置場合は1.080円追加。
ワイヤを2本以上使用する場合は1本につき1.080円ずつ追加。
2回目以降はワイヤ1本につき1,080円